「絶海」
伸びきった影が夜に喰われて
肉の塊 のそのそ動く
照らせど照らせど闇の奥も闇
岩壁と波の衝突音
海など何処にも見当たらぬ
展望台から一体何を
引き攣る自分の表情だ
震え鳴っている体の音だ
誰もいない
惨めな姿は晒されない
顔が消えていく黒い自由だ